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学名(がくめい)  

動植物に対して一意な名前を付ける規則。「属名+種小名+命名者」という構成になっている。
例えばマツモの学名は「Ceratophyllum demersum L.」ですが、属名がCeratophyllum属(マツモ属)、種小名がdemersum、命名者がL.となります。
Lとは「分類学の父」と呼ばれるカール・フォン・リンネのリンネ(Linnaeus)から取られています。
このように「.(どっと)」を付けると省略形を表す。

学名はラテン語で記述されることが多いですが、日本語での発音に関しては特に規則は無いようで、普通にローマ字読みで良いそうです。
実際には自国語の発音で読むのが一般的で、独自の外来語を作り出すのが得意な日本人的には「ヂェ」や「ウィ」「ヅ」といった発音より、ローマ字読みが合っている気がします。


学名に関するルール  

亜種名(subspecies)  

属名+種小名+「sp.(もしくはssp.)」+亜種名

種の下に付く下位区分。地域変種などを表現する際に「sp. "地域名もしくは国名"」と表記される。他にも種小名が不明な場合などは、属名+「sp.」とされる。

一般的には動物の場合は改良品種であっても「sp.」を利用する。

変種名(variant)  

属名+種小名+「var.」+変種名

こちらも種の下に付く下位区分。植物に関する学名で利用される。
通常動物には利用されないが、アクアリウムでは自然で確認される亜種に「sp.」、人工的に固定された改良品種に対して「var.」を付ける慣習がある。

品種名(forma)  

属名+種小名+「f.」+品種名

主に植物で使われる区分。園芸品種でよく見られるが、アクアリウムでは通常使われない。


アクアリウム特有のインボイスネーム  

インボイスネームとは流通名のこと。アクアリウムでは学名のように一意な命名方法ではなく、多くの流通名が存在します。

英名の利用  

多くのものが欧米から輸入されたこともあり英名で表記されることが多い。
「Paracheirodon innesi」は英名であるネオン・テトラと呼ばれるのが普通で、学名であるパラケイロドン・イネスと呼ばれることはない。

便名の利用  

一般に流通しているものと特徴が異なる場合は入荷する便名を記載したり、名前に転用する場合もある。
名前の後ろにカメルーン便、ケニア便などと付けられます。「"Cameroon"」「"Kenya"」とされる場合もあります。

特徴の利用  

特徴を捉えて名前にする場合もあります。鑑賞価値に重きが置かれるアクアリウムにおいてはむしろ自然な命名方法かもしれません。

魚で言えば背びれや尾の長いタイプを「ロングフィン」。鱗が波打ち光って見えるものを「ダイヤモンド」。メラニン色素の無い「アルビノ」。逆にメラニン色素の多い「ブラック」。

水草で言えば斑の入ったものを「斑入り」。葉の長いものを「ロングリーフ」。葉の幅が狭いものを「ナローリーフ」。葉の短いものを「ショート」。

共通するものとしては小型のものを「ドワーフ」。大型のものを「ジャイアント」。色の特徴から「レッド」「イエロー」などと付けられるものもあります。

他にも特定の種で用いられる特殊な呼び名もあります。
代表的なのはグッピーの「タキシード」や「ブルーグラス」。他にもレッドビーシュリンプの「モスラ」「日の丸」など、ブリードが盛んで愛好家が多いものほど、特殊な呼び名が付いているものが多くなる傾向があります。

間違った名前  

アクアリウムでは初めに流通した時の名前で固定されることが多い。広く普及して一般的になった名前を変更すると混乱が起こるため、間違った名前でそのまま固定してしまうことが多い。

例えばインディアン・クラススラとして流通していた種は、実はスズメハコベと判明しましたが、今でも間違った名前であるクラススラとして流通しています。

学名で紹介すればスズメハコベのような間違いが起きないかと言われると、そうでもなく、学名も最新の遺伝子分析によって分類が変わっています。
実際エウステラリス・ダッセン(現在はミズトラノオ属〈Pogostemon〉)のように、過去の学名で固定されてしまう例もあります。


改良品種の名前  

多くの特徴がある種を表現する場合、順序がバラバラだと混乱が起きます。アクアリウム業界で独自に付けられた名前が多いため、正しい順序というものはありませんが、当サイトでは業界の慣習から以下のように定義して記載しています。

改良品種の名前の付け方は、「分類→アルビノ→体色→体の特徴(ハイフィンなど)→生体名」という順番に記述する。

例)
コリドラス・アルビノ・ハイフィン・パレアトゥス
アルビノ・トリカラー・ダイヤモンド・エンゼル


動物(魚)の学名  

国際動物命名規約においてルールが決められている。

アクアリウムでは上記にある通り地域変種や亜種に「sp.」。人工的に作られれたり突然変異を固定したものに「var.」を付ける。

正式には学名のあとに登録者の名前と登録された年が記載される。

ネオン・テトラの場合  

「Paracheirodon innesi (Myers,1936)」

改良品種のダイヤモンド・ネオン・テトラの場合  

「Paracheirodon innesi var. (Myers,1936)」

ネオン・テトラの地域変種の場合  

「Paracheirodon innesi sp. (Myers,1936)」

ネオン・テトラと同じParacheirodon属だが種が判然としないものの場合  

「Paracheirodon sp.」


水草の学名  

国際藻類・菌類・植物命名規約においてルールが決められている。

アクアリウムでは上記にある通り地域変種や亜種に「sp.」。人工的に作られれたり突然変異を固定したものに「var.」を付ける。
魚の場合と違い登録者の表記は通常しない。

改良品種名を記載する際には「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲む場合が多い。

デナリー社の水草は「SPEC.」と表記する。また自然交雑種の場合は「X」を付ける。

マツモの場合(登録者表記がある場合)  

「Ceratophyllum demersum L.」

スイレンの場合  

「Nymphaea tetragona」

スイレンの改良品種クリサンタの場合  

「Nymphaea "Uni-Yellow Orenge"」

タヌキモの場合(学名に地域名〈日本:Japonica〉が入るタイプ)  

「Utricularia Vulgaris L. var. Japonica」

デナリー社のニードルリーフ・ルドウィジアの場合  

「LUDWIGIA X ARCUATA」


外部リンク  

ラテン語の発音の参考になるサイト


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