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魚の各部名称
魚を理解する上で必要な魚類用語の図解。
魚の解説や説明を把握する際にご利用ください。
目次
各部名称(基本的な呼び方)
前後、背側・腹側、縦横
ヒレの名称
一般的なサイズの名称
口の形
尾びれの形
鱗(うろこ)の数え方
各部名称(基本的な呼び方)
側線は水流や水圧を感知する器官。鱗の中心にくぼみが線状にあることから判別できる。このライン上に模様のある種も多い。種によっては曲がっている場合や、途中で切れているものもある。
側線のある鱗を特に側線鱗(そくせんりん)と呼ぶ。
アクアリウム(特に金魚の世界)では尾と体を繋ぐ部分を尾筒(おづつ)と呼ぶことが多い。生物学上では尾柄(びへい)と呼ぶのが一般的。
吻(ふん)は正確には目より前の部分全体を指す。アクアリウムでは鼻やアゴに当たる部分と区別するために口吻(こうふん)と呼ぶことが多い。
前後、背側・腹側、縦横
魚における縦は、脊椎に対して水平のラインを指す。そのため、縦縞とは頭から尾びれに向かう複数のラインを指す。
反対に横縞は脊椎に対して垂直のラインを指す。
各ヒレの名称
一般的に腹びれと胸びれは2対、背びれ・尻びれ・尾びれは1対なものが多い。金魚は尻ビレが2対ある。
背びれが前後にあるものは、前のヒレを「第1背びれ」、後ろのものを「第2背びれ」と呼ぶ。
底を這うために胸びれが手のように進化したもの、蛇のようにヒレをくねらせるために胸びれ・尻びれ・尾びれを連結させたもの、高速遊泳するために背びれを畳むものなど、その生態によって多様な形態がある。
ヒレの形状を見ればある程度、どのような環境に適合したのか判別することができる。
一般的なサイズの名称
全長は通常ヒレの端までを含めるが、極端にフィラメント?が長い場合や、髭などは含めないことが多い。
また、アクアリウムにおいては尾叉長(びさちょう)をサイズと表記することが一般的。
ディスカスやエンゼルフィッシュ等の全長よりも体高の高いものは、体高を指してサイズとすることもあるため、確認が必要。
口の形
■端位(たんい)
口が先端に付いており、上下に開くもの。
ゆっくりと沈むタイプのエサが向いている。
■上位(じょうい)
口が上に付いており、上に開くもの。
水面のエサを食べるため、枕水しにくいフレークフードなどが向いている。
■下位(かい)
口が下に付いており、下に開くもの。
底にあるエサを食べるため、沈水性のコリタブ等が向いている。
尾びれの形
進化の過程が異なる種でも、似た環境で棲息するものは同じ形のヒレを持つことが多い。これを収束進化?と言う。
マグロは時速70キロものスピードで泳ぐことが知られているが、流体力学的にどのような仕組みでそれほどの速度を出しているか解明されていない。
■円形(えんけい)
尾びれが丸く円形になったもの。
■截形(せつけい)
尾びれがまっすぐになったもの。泳ぎが苦手なものが多い。
■湾入形(わんにゅうけい)
尾びれが丸くくぼんだもの。
■二叉形(にさけい)
上葉と下葉が鋭角に交わったもの。泳ぎが得意な種が多い。
■尖形(せんけい)
尾びれの先端が筆先のように1つになり、幅の狭いもの。
■三日月形(みかづきけい)
尾びれが三日月のようにくびれたもの。最も高速遊泳に向いているとされる。
鱗(うろこ)の数え方
アクアリウムでは鱗の数に主眼が置かれることは少ない。計測されるのはポリプテルスやアロワナなど、鱗の数が数えやすいものが多い。
側線上方鱗数(そくせんじょうほうりんすう)は1つ目の背びれ前方の付け根から側線までの鱗の数。生物学上では種の特定によく使われる指標。
側線下方鱗数(そくせんかほうりんすう)は側線上方鱗数で計測した側線から腹までの鱗の数。
体周鱗数(たいしゅうりんすう)は体の中央の一番太い部分を一周した鱗の数。
コリドラスの各部名称
鱗板はトカゲなどに見られる硬い板状のウロコのこと。
コリドラスの棘条には毒があり、素手で触れる際は注意。また、移動する際に小さなビニールに大量に魚を入れたりするとお互いに刺さって弱ってしまうので注意。
吻の長さによって、ロングノーズ、セミロングノーズ、ショートノーズと分けられる。厳密に長さや比率で決められているわけではないため、分類は曖昧。
一般的にロングノーズは飼育繁殖共に難しい種が多い。
ロングノーズ。コリドラス・ビッタートゥス?、コリドラス・ケルビヌスなど
セミロングノーズ。コリドラス・レオパルダス、コリドラス・アムビアクスなど
ショートノーズ。コリドラス・アエネウス、コリドラス・パンダなど
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ポリプテルスの各部名称
ポリプテルスは種類を判別するために小離鰭や鱗を数えることが多い。
ちなみに同じ種であっても2~3枚の誤差があるので、決定的な判別方法ではない。
小離鰭や鱗の数の多いほうが大きくなり、重厚感が増すためマニアには好まれる。
ガノイン鱗は象牙質とエナメル質でできており、中には血管が通っており、皮膚と同化していて鱗のように剥がれることはない。ポリプテルスはガイノン鱗とコズミン鱗が組み合わさった特殊な形状をしており、厳密にはパレオニスクス鱗と言われる。
鼻管(びかん)と呼ばれる筒状の鼻を持っている。匂いを感じる専用の器官で口とは繋がっていない。
チョウザメの各部名称
鱗はガノイン鱗と呼ばれる特殊なもので、象牙質とエナメル質でできており、中には血管が通っており、皮膚と同化していて鱗のように剥がれることはない。
この鱗の形が蝶に似ており、体型がサメに似ていることからチョウザメと呼ばれる。
ちなみにサメの仲間ではなく、チョウザメ目・チョウザメ科に属する。どちらかと言えばポリプテルスと近い。
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プレコの各部名称
扁平な体と吸盤状の口、棘の生えた鱗が特徴。
見た目に反して急流域に生息しているものが多く、より扁平な種のほうが急流に生息している。
視力が高く、光の多い環境だとΩを逆にしたような形に変形して光を調整する。この特性を指してオメガアイと呼ばれる。
吸盤状の口には、円形に歯が生えており、ブラックウッドをバリバリと食べるほど鋭いものもいる。そのような種はアクリル水槽を傷だらけにしてしまうため注意。
各ヒレの棘条はとても固く伸長していて、鱗のトゲも鋭いため、移動の際に網で掬うと絡まってしまうことが多い。そのため軍手をはめて、手で掴んで移動することが多い。
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金魚の各部名称
金魚は古くから愛好者が多いため独特の名称で呼ばれることが多い。特に丸みを帯びて見た目の愛らしいらんちゅうは人気があり、多くのコンテストが開催され、愛好家が自慢の愛魚を競わせている。
「背なり」は肩から尾の付け根にかけたラインで特に重要とされる。胴から肩にかけてはゆるやかな曲線で、尻びれにかけては丸くストンと落ちているものが良いとされる。
えぐれたものは「しゃくれ」、膨れたものは「だるみ」と呼ばれ嫌われる。
「尾芯」の立ち上がりは角度が重要となり、「背なり」に比べれば多少ゆるやかな曲線で「人」の字を逆さにしたように交差するものが良いとされる。
付け根の位置は上過ぎても下過ぎても良くない。
「腹の止まり」はふっくらとして終端が「尾付け」付近まで盛り上がったものが良いとされる。
瘤は十分に発達したものが好まれる。
目の周辺に大きくせり出す、鼻の部分に付く瘤を「フンタン(もしくは龍頭)」と呼ぶ。
頭の上の部分に付く瘤を「兎金頭(ときんがしら)」から取って「トキン」と呼ぶ。
目の下に付く瘤を芸者の髪型から「ビン張頭(びんばりがしら)」と呼び、特に「上ビン・下ビン」等と呼ぶこともある。
近年では目がしっかりと見えて、それでいてフンタンとトキンが十分に発達してせり出したものが好まれる。
当歳の頃は良くても成魚になるとこぼれ落ちるようになるものや、成魚になっても十分に発達しないものもあり、判別が難しい。
上から見た図では、模様やヒレ・瘤が左右対称であることが良いとされる。
見た目だけでなく、軽やかに尾びれを震わせて泳ぐことも大切とされる。常に片方に曲がってしまうものや、底に沈んで動かないようなものは嫌われる。
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金魚の体型
■和金(わきん)型
原種のフナから突然変異した種。体型は最もフナに近い。ちなみにワキンタイプであっても一枚尾だけでなく、三つ尾などの水平尾を持った種も流通している。ワキン、コメットなど。
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■琉金(りゅうきん)型
ワキンから突然変異した種。体高が高く、長さが寸詰まりで丸みを帯びている。オランダシシガシラやキャリコ、トサキンなど、人気種の元となった歴史の長い体型。青琉金?、キャリコ琉金?など。
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■出目金(でめきん)型
体型的には琉金型と同じ。目玉が大きく突き出る突然変異を固定したもの。視力が悪く、泳ぎも苦手で流木やアクセサリーに引っ掛けて目に傷が付いてしまうことがあるため注意が必要。古く中国から渡来し、今でも中国では様々な種が創作されており、時折新種がお披露目される。出目金?、パンダ蝶尾?など。
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■和蘭(オランダ)型
琉金型から選別して作られた種。琉金に比べて胴部が長く、尾びれが伸長する。ひらひらとなびく尾びれは上からだけではなく、横から見ても見応えがあり、近年人気の種。東錦?(あずまにしき)、オランダシシガシラなど。
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■ピンポンパール型
オランダ型から選別して作られた種。名前の通りピンポン球のようなまん丸い体型をしている。そのコロコロとした愛らしい姿から女性に人気の種。構造的に転覆病になりやすいため、エサの与え過ぎには注意。ピンポンパール、浜錦?など。
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■蘭鋳(らんちゅう)型
琉金型から突然変異して生まれた背びれのないマルコから生み出されたタイプ。正確にはマルコが原種だが、絶大な人気から背びれのないタイプはらんちゅう型と名付けられた。可愛らしい丸い体型に、上品な尾びれ、泳ぎが苦手でぷよぷよと水中を漂う姿がいかにも愛らしく、金魚の王様と呼ばれるほどの人気種。らんちゅう?、ナンキン?など。
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金魚の尾びれの種類
金魚は種類だけでなく、尾びれも種類が豊富。
それぞれ横からの見た目が良いもの、上からの見た目が良いもの。泳ぎの得意なもの・苦手なものとメリット・デメリットがある。
■フナ尾(ふなお)
金魚の原種であるフナに最も近い尾の形。金魚の中ではワキンが近いが、厳密にはワキンは少し伸長している。原種に近いため泳ぎが最も得意。ワキンなど。
■吹き流し尾(ふきながしお)
フナ尾が長く伸長したもの。水中に尾びれがなびく姿を、竿に旗をなびかせる「吹き流し」から取った名前。フナ尾と合わせて一本尾と呼ばれる。上から見るには向かないが、水槽で横から見るには尾びれの模様が綺麗に見えて華やか。コメットなど。
■三つ尾(みつお)
ヒブナからワキンへの突然変異の際に尾びれが水面に対して水平に広がるタイプ。上からの観賞価値が高いため、池や睡蓮鉢で上からの姿を鑑賞する愛好家に好まれる。このタイプを平付尾と呼ぶ。平付尾タイプは泳ぎが苦手で水槽に流木やアクセサリに引っかかって傷が付いたり切れてしまうことがあるので注意が必要。琉金?、らんちゅう?、出目金?など。
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■四つ尾(よつお)
三尾のうち、尾芯の部分に切れ込みが深く入ったもの。最低でも3cm以上あるものを指す。根元付近まで切れ込みのあるものが良しとされる。体を振って泳ぐ際に各ヒレが独立して動き優雅なため、最も人気のあるタイプ。琉金?、らんちゅう?、出目金?など。
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■桜尾(さくらお)
三尾のうち、尾芯の部分に切れ込みが浅いもの。切れ込みが3cm以下のものを指す。琉金?、らんちゅう?、出目金?など。
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■孔雀尾(くじゃくお)
尾芯にはいる切れ込みが深く、立ち上がりは低めで、左右に広がるタイプ。左右に大きく広がるさまが、孔雀が羽を広げたように見えることから名付けられた。地金?(ぢきん)など。
■反り尾(そりお)
三つ尾のうち、水平方向に尾が反って両端がカールしたタイプ。平付け反転尾とも呼ばれる。上からの見応えが素晴らしく、ヒレを震わせて泳ぐ姿は天女の羽衣を思わせる、観賞価値の高い尾びれ。土佐金?(とさきん)など。
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■蝶尾(ちょうび)
四つ尾を水平にして尾端を長く伸ばしたようなタイプ。上から見ると蝶が羽を広げているように見えるため名付けられた。昭和50年代に中国から持ち込まれた。詳しい系統は不明。出目金?(でめきん)など。
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グッピーの各部名称
グッピーはオスメスで色彩や大きさが異なる。
オスは4cm程度でスリム。色彩が豊かでヒレが長く伸長する。また、尻びれの先端にゴノポジウムという生殖器がある。
特に伸長した糸状のヒレを長繊維を指すフィラメントと呼ぶ。
メスは6cm程度で腹部がふっくらとしている。色彩はオスに比べると地味。
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グッピーの尾びれの種類
■デルタテール
最も一般的な尾びれのタイプ。ギリシャ文字で三角形を表すdeltaから取られた。ヒレの先端がギザギザになり高級感があるため日本の愛好家には好まれる。また黒いスポット模様が細かく、ヒレの長いものが良しとされる。ブルーグラス・グッピーなど。
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■トライアングルテール
広義ではデルタタイプに属するが、綺麗な三角形になるタイプをトライアングルテールと呼ぶ。外国産グッピーに多い。モザイク・グッピーなど。
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■ファンテール
デルタテールやトライアングルテールの端が丸いもの。尾びれがピンと張っていて模様が綺麗に見える。デルタテールのように尾びれの長いものが好まれる。ちなみにファンテールとは羽冠(うかん)のこと。プラチナファンテール・グッピー?など。
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■スワローテール
尾びれの条がランダムでぎざぎざになる。オスのスワローテールはゴノポジウムが伸長して生殖能力が無い。そのためスワローの遺伝子を残すしつつ、累代させるのが難しく高価。
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■ダブルソードテール
尾びれの上下の条が長く伸びる。
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■トップソードテール
尾びれの上の条が長く伸びる。
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■ボトムソードテール
尾びれの下の条が長く伸びる。
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■ラウンドテール
尾びれの先端が丸くなる。このタイプは尾びれが長いものより、短くて綺麗な円になったものが好まれる。
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■ピンテール
トップソードテールから変形したもの、ダブルソードテールから変形したものなど、いくつかの亜種が知られている。
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■スピアテール
尾びれの中央部が伸長して矢尻のような形になる。本種はトライアングルテールやラウンドテールから変形したもので、ピンテールとは異なる。